暖かくなってきたなと思った矢先、ここ数日は寒さがぶり返してきました。冬物をふたたび引っ張り出して何とかしのいでいます。4月に入って少しずつ片づけだしたのですが、その際に処分した物も多く、春物と冬物を無理やり組み合わせたような、へんてこりんなコーディネートになっています。
さて、コメ不足がおさまりません。価格の高騰も続いており、昨年同時期と比べて2倍になっているそうです。政府は備蓄米を放出するとか、輸入米を増やすとかいろいろと対策を講じているようです。しかしながらコメ問題、長年の政策により根深い問題を抱えていますので簡単には解決しそうにありません。
以前、私は農家さんとの直接取引で無農薬のお米を買っていました。コロナ前の事です。新米の時期にはPHILOSのメンバーさんにも無料でお配りしていたので覚えておられる方も多いと思います。
そもそものきっかけは出身地の京都岩倉の田畑が獣害でたいへんなことになっていると知り、故郷への恩返しにシカやイノシシを退治しようと狩猟免許を取ったことでした。この獣害もますます大きな社会問題になっていますがここでは横に置いておいて…。狩猟免許の講習時に仲良くなった農家の人、さらに免許取得後に猟師見習いをした「師匠」とのつながりの中で日本のコメ問題を知って、そこから「農家支援」と「家族の健康」のために直接取引をはじめたのでした。編集後記に続く…。
ところで、我が娘の最近の好物は近くのパン屋さんの名物クロワッサン。1つ250円しますが娘は朝からこれを2つ食べます。つまりパンだけで500円。一方でご飯だと家族3人で1.5合あれば足ります。今のコメ相場の5キロ4,000円=キロ800円、1合が150gとして1.5合225gで換算すると800円×0.225=180円です。パンと比較して相当安いことが分りますがそれでも妻は「お米が高くて手が出ない」と言います。コメ派の私は250円のクロワッサンに手が出ませんが…。
今回のコメ不足は、近年、日本人がコメを食べなくなり生産過剰となったため減反を推進して生産量を減らしたことが根本原因です。そこに若干の不作とインバウンド需要が重なって一気に品不足、価格の高騰につながりました。
そもそもコメを食べなくなったのですから、今はコメコメと騒いでいる人のいったいどれだけの人が本当に困っているのでしょうか。何となく「コロナのマスク」みたく、マスコミに踊らされている気がしてなりません。「コメが高いと思うならパンを食べてたらいいやん」というのが私の意見ですが、まあ、ないと言われると欲しくなるのも人情で…。と言いつつ、私の場合、いまだ「コメが高い」という感覚には至っていません。
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コメの話は本当に根深いのですが、私の知った限りの情報を少しまとめて書ければと思います。良ければお付き合いください。
戦後の農地改革で小作農が田を所有するコメ農家になりました。ここにコメ農家と言う「大票田」が誕生し、そこから農業族議員が排出されます。
コメは国=JA(農協)が買い取る仕組みになりました。最近でこそ変わってきましたが、それでも7割のコメは今もJAが買い付けています。つまりほとんどのコメ農家にとって「お客はJA」ということです。
JAは、コメ農家に対して種苗を売る、農薬を売る、農業機械を売る、お金を貸すなども行っています。背景に「買わないとコメを買わないよ」という圧力がありますのでコメ農家は断れません。ほとんど独禁法違反の「甘い商売」をしています。
他方、「小麦を買え」というアメリカからの圧力により学校給食などを通して少しずつですが日本人の主食がコメからパンに移行する中で減反が必要になりました。
これにより「農家は票田なので数は減らせない。しかしコメが余るので生産は減らさないといけない」という板挟みの農業政策が農業族とJAにより推進され今日に至っています。
さて私が関わった農家さんの話。無農薬のコメを作るのが難しいという話ですが、そこから我が国の農業政策が見えてきます。
<理由>
- 水の問題
- JAが相手にしてくれない
- 自分たちで売らないといけない
1.上流で農薬が使われてしまうとJAの規格に合った完全な無農薬のコメを下流で作ることは不可能です。また水の権利関係が複雑で勝手に農業用水を引いたりできません。
2.JAは農家が自主的に無農薬で作ったコメと農薬を使ったコメとを同等に扱い、他のコメと混ぜて流通に乗せるため、努力して無農薬で作っても何の意味がない。
3.もし無農薬として売りたいなら自分で売れと言う感じで、専門外である販売にも長ける必要があって簡単ではない。私にも「まとめて買ってくれるならいくらでも作ります」と言った感じでした。
これらから分かるように、国は「JAの言うとおりに作っていれば決めた値段で全部買いますよ。」とやって農家を取り込み、生産過剰になれば「JAの言うとおりに減反すれば補助金を出しますよ」という政策をやってきたわけです。
今、この政策に限界が来ているように思います。理由は高齢化が進んで農業従事者が減少しおいしい票田でなくなった来たことでしょうか。その結果、手綱が緩んで一部の農家がJAから離れて3つ目の動き、つまり消費者に直接販売したり、また大手飲食企業と契約してコメを栽培するなど、JA依存から脱却する者が増え、収益を上げはじめたことです。この異端者によって農地の「大規模化」も進もうとしています。
ようやく国も食の安全保障を重視して「減反から増産」に舵を切りそうですが、増産までには時間がかかるため即効性のある「輸入米」に依存しようとしています。
いったん輸入米などに頼ってしまうと増産の動きは鈍化するでしょう。消費者には安価な輸入米を食べさせ、経営の苦しい小規模農家には増産用の補助金を出すという感じでしょうか。利権を持つ族議員が考えそうなことです。この小手先の解決策で終わるのが心配でなりません。国民生活を中心に考えれば根本的な解決は国内農業の再編です。
私は「農業再編で国産米が増産できるまでの期間、コメ好きは高値で買う。嫌ならパンでええやんか」と思っています。この場合は消費者の負担が増えるので、消費税減税などで穴埋めすればいいかと。
そんな感じです。
投稿者プロフィール

- 茅ケ崎方式英語のスクールを経営して27年になります。講師ではなくブログやニュースレターを書き、学習者さんや先生のフォローする役割です。趣味はラグビーと陸上トラック競技。59歳の今も週末は試合に出ています。家族は、ヨガとテニス好きの妻・推し活に夢中の娘・2匹の犬。大阪市在住。
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