今年は例年に比べてセミが少ないような気がしています。泣き始めた時期も遅かったのですが、最盛期のはずの今も大合唱と言った感じになっていません。アメリカでは17年に一度、セミが大量発生(周期ゼミ)し、食用にされたりするのですが、我が国のセミにも何か周期のようなものがあるのでしょうか。
さて、選挙のために先送りになっていた鹿児島ツアーのご報告の続き(後半:知覧編)をさせてもらえればと思います。
知覧は特攻基地があった場所として有名で、知覧特攻平和会館がその史実を大切に後世に伝えています。一方、現在はわが国有数のお茶の産地で、飛行場跡は一面の茶畑になっています。そこに空港があったことが信じられないようなのどかな風景が広がる場所です。
太平洋戦争末期にはじまった特攻作戦で亡くなられた方は総勢1036名。知覧からの特攻は1945年3月26日にはじまり、終戦間近の7月19日で終わっていますが、このわずか110日の間に439名が出撃されています。全体の半数近い人数です。今回は、知覧でこの短期間に何があったのかを探る旅でした…編集後記に続く。
参議院選挙に話をうつしますが、予想通り与党が大敗し、参政党に代表される新進の野党が躍進を遂げました。与党不信に加え、これまで選挙に関心を持たなかった若者層が選挙に行ったことが一因のようです。テレビでは50代の知性派ぶった評論家が「何も知らない若者が気分で投票した…」ように語っています。恐ろしく傲慢な発言です。結婚できない、子供を持てない、また景気にせよ、外国人問題にせよ、我が国の諸問題の最前線に立っているのは若者です。その彼らが「当事者」として真剣に考えた末の投票行動だったことを見逃してはならないと思います。
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今回の鹿児島ツアーでは屋久島と並んで知覧を重要な旅先に据えていました。もし屋久島だけなら直行便で2時間半。しかしどうしても知覧に行きたかったので鹿児島空港を拠点にすることにしたのです。その結果、鹿児島屋久島間の移動で半日以上のロスとなりましたが、それでもなんとか三泊四日の最終日を知覧観光に充てる予定が組めました。
朝10時の高速船に乗り鹿児島港着が12時30分。すぐにレンタカーに乗り換えて知覧着が13時30分。ここまでは予定通りに進みまずは昼食となりました。そこで飛行場跡を通り越して「特攻の母」と呼ばれた鳥濱トメさんの「富屋食堂」へと向かいました。
鳥濱トメさんゆかりの映画
俺は、君のためにこそ死ににいく:石原慎太郎作品。トメさん役は岸恵子
ホタル:高倉健主演・田中裕子共演
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら:福原遥×水上恒司ダブル主演
ところが富屋食堂は外観こそ当時が再現されていましたが、すでに食堂ではなく資料館に変わっていました。そこで後ほど再訪すると決めて移動。空腹には勝てずです(笑)。とにかく飛行場跡に行けば何かお店があるだろうと移動すると、観光用の大きな駐車場とお店が数店舗。正解!と思いつつ「知覧茶屋」という名に魅かれて暖簾をくぐりました。入ってみて分かったことは、ここが「冨屋食堂」を引き継ぐお店で、現在は鳥濱トメさんの曾孫さんが経営されているとのこと。こちらでおすすめの天ぷらざるそばをいただきました。

知覧茶屋で45分ほどを過ごした後、6月とは思えない強い日差しを受けながら徒歩5分ほどの特攻平和会館に向かいました。
館内右には傷んだ戦闘機、正面が資料室。多くの人が熱心に観ておられました。私たちは何から始めてよいかわからず、アナウンスに誘われるがまま、30分ほどの「お話し」を聞くことにしました。これが正解だったようで飛行場の歴史や特攻の経緯、亡くなった方の遺書などが紹介され、全体像をザクっとつかむことができました。そしていよいよ資料室へ。
最初のブースを見て気づきました。「まったく時間が足りない」。その時点で15時前でしたが、展示されていた手紙、つまりは遺書ですがこれをお一人分読むだけで5分は必要です。遺書は大小さまざまな紙に、ペンや筆で書かれ、長さもまちまち、達筆あり、小学生のような字もあって、もちろん内容もすべて異なります。中にはぐっとくるものもあり涙をこらえながら読み進めないといけない。あれも読みたいこれも読みたい、そんな風に思っても知覧を離れないといけない17時までに到底、読み終えられるものではありませんでした。
それでも気を取り直し、気になる手紙を選んでは読み、涙を浮かべるという時間を過ごしました。様々なことが脳裏をよぎる、とても濃厚な時間でした。ぜひ皆さんにも体験してもらえたらと思います。
時間が押してきたのでやむなく手紙のゾーンから離れ、遺品や戦闘機のゾーン、再現された宿舎などを見て、後ろ髪をひかれながら平和会館を後にしました。



再訪予定の富屋食堂に立ち寄ることもかなわず、車を飛ばして鹿児島空港へ。何とか無事に19時の飛行機に間に合って帰路につきました。疲れ果てて家に戻った時には22時を回っていました。
旅から1月以上が過ぎ、名残といえば、様々な記憶はさておき、いつも食卓に用意されている冷たい「知覧茶」でしょうか。平和会館を離れる直前に飛び込んだお土産屋さんですすめられたお茶ですが、すっかり我が家の定番になっています。パックを冷水に漬けておくと何とも言えない濃厚なお茶が出来上がります。実に美味しい。この文章を書いている今も傍らにはグラスに入ったこのお茶があります。
お土産に買った分はとっくの昔になくなりましたが、通販で買えるので、もう何度もリピートしています。
最後に。
若者たちはいつの時代も必死に生きています。彼らを翻弄するのは常に頭でっかちの大人。当事者ではない人々です。戦後80年を経た今もその構造は変わっていません。
長く生きることは有難いことではあるけれど、今の時代、自慢するほどのことではありません。ましてや年長者が偉いわけでもありません。還暦の記念に訪問した知覧で、いくつになっても当事者として今を生きることの大切さを学ばせてもらった気がします。
知覧、お勧めします。色々な気づきがあります。なお、現地では5時間以上をお過ごしください。
投稿者プロフィール

- 茅ケ崎方式英語のスクールを経営して27年になります。講師ではなくブログやニュースレターを書き、学習者さんや先生のフォローする役割です。趣味はラグビーと陸上トラック競技。59歳の今も週末は試合に出ています。家族は、ヨガとテニス好きの妻・推し活に夢中の娘・2匹の犬。大阪市在住。
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